安易な緊縛は本当に危険!

ゴールデンリターンズさんのこと、ご紹介させてください。
「SM整体師」として、緊縛事故の後遺症の治療施術を
ボランティアでおこなっている方です。

ゴールデンさんの地道な活動のおかげで、
何の知識もないまま緊縛をすることがいかに危険であるか
少しずつ周知されて来たように思いますが、
まだまだ足りないと感じています。

かく言う私も、かつては緊縛をとても軽く考えていたので
お恥ずかしい限りなのですが……。

是非一度ゆっくりとお話を伺いたいと思っていたところ、
KINBAKU TODAYよりインタビューする機会をいただきました★

ゴールデンさんが活動を始めた当時は、
緊縛で怪我をしても泣き寝入りを強いられる人がほとんどでした。
今もそうかも知れません。
不幸な事故で苦しむ人が少しでも減りますように……。

KINBAKU TODAY の記事はこちらです:

http://www.kinbakutoday.com/golden-rule-s-m-interview/

ゴールデンさんの許可を得て、日本語訳を以下に載せておきます (*^ ^*)

*******************************
ゴールデンさんは『SM整体師』として、長年、SMにまつわるトラブル相談や、安全なSMプレイの行い方、麻痺が起こった場合の対処法などの指導を行って来ました。さらに2011年からは、緊縛の後遺症に悩む人達のために自宅で定期的に「SM整体オープンハウス」を開催し、プロ・アマ問わず幅広いSM愛好家にSM事故の後遺症の治療施術をボランティアでおこなっています。
ゴールデンさんの日本語のブログはこちらです: http://ameblo.jp/smsikou/

Yuki) 長年SM事故を見てきたかと思いますが、決まったパターンや、変わって来た点などありますか?

golden rule s.m) 事故が起きやすいパターンは、身体への知識が乏しい為平気で人間の急所やデンジャラスゾーンに縄を当てたり、やたらとキツク縛る事です。
また変わって来た事は、以前は神経系の後遺症が殆どで、時たま吊りの失敗による落下で首を痛めたり打撲傷を負う位でしたが、最近は骨にヒビが入ったり骨折したり捻挫する受け手が増えて来たことです。

Yuki) 緊縛事故の「主な」原因は何でしょうか?

golden rule s.m) 知識&技術面で圧倒的に多い事故原因は、緊縛技術の知識や経験が乏しいのに高等な縛りや吊るしをしようとした場合と、「事故原因(何故事故になってしまうのか?何処に縄を当てたら事故になるのか等)」に関する知識や基本的な身体の構造の知識が乏しい事です。
特にプロや指導者レベルの中にも、未だに事故原因に関する知識が乏しい人がいて、その人が教える場合もある訳ですし、困ったものです。
但し、プロアマ問わず、私に直接連絡をして勉強に来たり、私の講習会を受講したり、私のブログを読んで勉強をする人も多くおり、私が表に出て活動を始めた4年前に比べれば事故原因に関する知識を持っている人は格段に増えており、特に海外に行って指導している緊縛師の殆どは事故に関する知識が豊富な人です。
そして、心の問題では、未だに事故を軽視していたり、事故に注意しているつもりでもいざ縛る段になった時、相手を落ち着かせお互いの呼吸を合わせる事を忘れていたり相手の身体の硬さや体調等を把握せず縛ってしまう余裕の無さや、緊縛中に受け手が「痛い、痺れてきたみたい」と言っているのに縄を解くどころか緊縛の完成を優先させてしまう人が多い事です。
そして最悪なのは、元々縛り手が受け手の存在を単なる縛る対象で生きたトルソー程度に考えており、相手の事など考えもせず、ただ縛りそのものに熱中することです。
縄会などではこういう人もいますので要注意です。

Yuki) SM事故を防ぐために当事者同士で何を意識してどんなコミュニケーションを取れば良いのでしょうか? また受け手側も注意すべき点は何ですか?

golden rule s.m) まず、さり気ない会話でも、縛り手が受け手の緊張感を解し信頼感(ラポール)を得ようとする意識が大切です。
そして、緊縛直前に呼吸を合わせ受け手を落ち着かせる事や、受け手の身体の硬さと腕の可動範囲のチェックや肉付きデンジャラスゾーン(危険部位)などのチェックが必要です。
また、受け手は脱力して縛り手に身を任せる事が大切です。
その為、私の講習会では整体術を取り入れた「2人で行える身体を解す運動」を指導したり、受け手の両手を胸の真ん中で合わさせ、後ろから抱き抱える様にハグをしながらその手の上に縛り手が手を重ね、暫くそのままじっとしながら呼吸を合わせ受け手を落ち着かせ身体を委ね易くさせる方法を指導しています。
また、受け手には1人でいつでも出来る身体の柔軟性を増すストレット(特に肩甲骨を動かすストレッチ)の指導をしています。
もてたい為に縄を勉強する自称Sや、マトモに縛りも出来ない自称緊縛師が多い事は事実です。結果、パートナーを求めるMが出会いでのトラブルや行為中の事故に巻き込まれる事が多くなっています。でも、相手を見抜く知識が有れば危険も軽減されると思います。

Yuki) この縛りは危険であると受け手が自分で判断できるような、危険信号のようなものはありますか?

golden rule s.m) 縄会等の時は、縛られる前に色々な縛り手の技を注意深く見てその人のレベルを計り、縛られる相手を選ぶ事です。
また、緊縛中は前しか見えないので、せめて二の腕や首周りの縄の位置を確認しましょう。
それ以外で自覚できる危険信号は縛りをいつもよりもキツク感じるとか、痺れや痛みを感じる等を危険信号と捉えるしか有りません。
ちょっとオカシイなと感じたら、両手の指を開いたり閉じたりして感覚を確認して下さい。
そして、感覚が鈍いと感じた時は、「痛いから(痺れたから)縛りを中断して欲しい」と訴える事が大切です。
ただまぁ、そんな事を気にしてると縄に入れないので、技術も知識も心もちゃんとした相手を選んで、それ以外では縛られないのが一番良いと思いますよ。

Yuki) ゴールデンさんはかなり専門知識が豊富なようですが、整体師としての知識や経験はどこで身につけられたのでしょうか?

golden rule s.m) 私が小学校3年の時に小児リウマチという病気にかかり、箸も鉛筆も満足に持てなくなったのですが、住んでいた所が山奥の田舎だった為、田舎の医師が病名を分からず、ビタミン剤と精神安定剤だけを処方した為1年以上経ってもなかなか回復しませんでした。
そこで、心配した父親が「藁をも縋る気持ち」である有名な整体師の所に連れて行ってくれたところ初めて少し身体が楽になった為、私が「この人に頼ろう」と決め、リハビリを兼ね弟子入りをお願いし、それから何年もの間、時には泊まり込みながら修業をしたからです。

Yuki) 海外の人が緊縛に興味を持つことをどのように感じていますか?

golden rule s.m) 素晴らしいことだと思いますが、海外の方々による事故や怪我は多いと聞いていますので、緊縛の危険性を理解していただきたいと思っています。

Yuki) SM整体オープンハウスはどんな雰囲気なのですか?

golden rule s.m) 施術は1人1時間かけてじっくりと行なっていますが、施術するだけではなく、安全を担保したSM技術や緊縛事故などの話や、色々なトラブルの実態の話をしたり、身体の解し方を学びたい人の指導などをしています。いつも10数名の人が、持ち寄りのお菓子やお茶でワイワイと・・・まるで女子会のような雰囲気になってサロンの様になっています。

Yuki) 自宅を開放して、ボランティアで施術をおこなっているのですか?

golden rule s.m) そうです。4年前にスタートして、当時は毎週末行なっていました。今はもっとゆるやかなペースで開催していますが、午後13時から夜中までずっと施術し通しだったこともあります。また、依頼が有れば、縄会・サロン・店などでも「身体の解し方」等の講習を行っています。もちろん、これらの活動は全てボランティアです。

Yuki) なぜそこまでするのでしょうか?

golden rule s.m) 緊縛の後遺症で苦しんでいる方々のことを他人事とは思えないのです。また、生きる為に大切な事なのに、性的なコミュニケーションの取りかたに関してちゃんと教えてくれる所は無いし、性を語る事はいやらしい事&不謹慎な事だとみられてきました。でも、性で悩む人は非常に多いし、一方で勘違いしている男性も多いのです。私の活動で、少しでも悩みから解放される人が増えればと考えています。

Yuki) ゴールデンさんはご自身をSだと仰っていますが、Sに目覚めたきっかけは何ですか。

golden rule s.m) 初体験のときに、あなたのセックスは他の人と違うと言われました。それが自分の性癖に気づいたきっかけです。

Yuki) 最後に、緊縛やSMを楽しんでいる、あるいはこれから楽しみたいと思っている方々に向けて、メッセージをお願い致します。

golden rule s.m) 緊縛技術を持っているのに事故する人の原因の多くは、コミュニケーション不足です。
緊縛は、他の拘束具を装着するのと違い、縛っている最中のやり取りや刻々と変わって行く受け手の反応を楽しむ物でも有ります。
ところが多くの人が、縛る事に集中(熱中)するあまり、肝心の「相手と心を通じ合わせその反応を見ながら行う」という部分を忘れてしまっているのです。
縛る対象は荷物では有りません。生身の人間です。
身体の硬さや腕や肩などの可動範囲も人それぞれ違いますし、その日の体調によっても変わって来ます。
それらを計算しながら、縛って行くことこそが生身の人間を縛る醍醐味なのに、「縛りの形」ばかりを気にしてしまっているのです。
それでは、緊縛の楽しさだって何分の一しか楽しめていない事にもなるし、縄の受け手のMのスイッチの入れ方も分からなくて当然です。
今は、私も親しくしている技術的に秀でた多くの日本の緊縛師達が海外に出て教えています。
どうか、彼らに技術だけでなく心の部分も学んで、緊縛をより楽しんでいただきたいと思っています。
また、SM初心者の方は、手軽に読める程度の本で良いので心理学とSM関係の本を1冊くらいは読んでからSMを始めて下さい。
読めば、拘束具も縄も鞭等もあくまでも便利な補助具で有って、SMは相手との心理的なやり取りが一番大切で面白いのだと気付いていただけると思います。
それが分かれば、自分はノーマルだと思っている相手だって自分好みの可愛いMに育てる事も出来ますからね。
私は、数年前から日本で「緊縛事故講習」や「性感開発とSM入門講習」を行っています。
もし、日本におみえになる事が有ったら気楽にお声を掛けて下さい。
では、素敵なSMライフを楽しんで下さいね。

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